給食アレルギー品目アラームシステムの開発のきっかけ

ある日、弊社の代表取締役が、小学校の養護教諭をしている知人から「今日は本当に怖い思いをした。」と聞いたところから、このアプリの企画制作は始まりました。

その小学校は1年生から6年生まで600人規模の学校で養護教諭は一人。児童たちの病気やけがの対応、保健室登校の児童の対応、健康診断や校外の研修、校内の指導、インフルエンザなどの感染症の予防策や対応など、その多忙さは想像もできないほどでした。

超過密な業務の中で彼女が最も神経質になっていたのは、給食の食物アレルギーによるアナフィラキシーショックのことでした。 その小学校では、アナフィラキシーショックの危険性がありエピペンを預かっている児童が複数いて、給食の献立表を目を皿のようにしてチェックし、除去しなければならない献立がある時は、その日の朝に担任の教諭に念を押して伝えるという対応をしていたそうです。

ところが、その日、献立表にある見慣れないメニューに牛乳が含まれていることを保護者が見落としていたために、1年生の女子児童がアナフィラキシーショックを起こし、救急車に出動してもらうという出来事があったのでした。保護者から預かっていたエピペンを女子児童に注射し、女子児童は事なきを得ることができました。しかし、もし気づくのが遅ければ、もしエピペンを使うことを躊躇っていたら・・・、命にかかわる事故につながっていた可能性もあったそうです。

その話を聞いて、無事で本当に良かったと思うとともに、アレルギーを持つ子の親御さん、学校の担任の先生、養護の先生などにとって、給食と言う日常が本当に高いリスクを抱えているという現実を知りました。そして、ITを活用してその負担を少しでも軽減することはできないのか、と思ったのです。

それから企画と概要をまとめ、4ヵ月後には開発に着手し、その半年後に初版をテストリリースしました。ある小学校で保護者や先生に約1年間運用していただき、「献立表の見落としの不安が軽減した」との声を頂戴しました。その後、少しでも多くの人に利用していただけるよう、システムの機能強化を行っています。

食物アレルギーを取り巻く現状

アレルギー事故発生件数と児童への対応

文部科学省より、「学校給食における食物アレルギー対応指針」が公表されており、食物アレルギーを持つ児童に対しても食育の観点により、基本的には給食を提供するとしています。
すべての児童が給食時間を安全に、かつ、楽しんで過ごせるように、栄養教諭や養護教諭、担任、校長などが連携し、組織的に対応することが求められています。
しかしながら、アレルギー品目の誤食事故は年々増加しており、特に教職員の皆さまの負担が大きくなっているのが現状です。

(参考文献)文部科学省:学校給食における食物アレルギー対応指針/日本スポーツ振興センター:「学校の管理下における食物アレルギーへの対応」

献立チェックの現状と問題点

アレルギーを持つ児童の保護者は、毎月配布される献立表に記載されている食品をすべてチェックする必要がありますが、万が一見落とすと重大な事故に繋がる可能性があります。
また、教職員においても、担当する児童のアレルギー品目を個別に把握する必要があり、該当品目が含まれるメニューは提供しないなどの個別の対応を行う必要があります。

現状
問題点

現状

保護者は紙媒体で一か月分の献立表を受け取る。アレルギー品目の含まれるメニューの日は子どもに注意喚起している。

問題点

万が一、メニューを見落としてしまったり、子どもに伝えられなかった場合に、重大な事故につながるリスクがある。

現状

教職員は児童のアレルギー品目の有無を把握し、児童毎にきめ細やかな対応を行っている。

問題点

数十人の児童に対して、きめ細かい対応が必要とされているため、教職員への負担が大きくなっている。

現状

文部科学省は「食物アレルギー品目を有する児童生徒にも給食を提供します。そのためにも、安全性を最優先とします。また安全性確保のため原因食物の完全除去対応を原則とします。」としている。

問題点

保護者と教職員の負担が増加しているが、アレルギー事故に対する具体的な対策が確立されておらず、保護者・教職員の負担が解消される見通しは立っていない。